【映画】『パンズ・ラビリンス』
観ました。4年ぶりくらい。大学院生の時、授業の一環で観ました。映画にまったく興味がなかったわたしにその世界をのぞかせてくれたのがこの映画でした。映画と言えばタイタニック、というくらいのわたしにとって、衝撃的な作品でした。映画ってすごい、単純にそう思いました。
舞台は内戦直後のスペイン。少女・オフェリアは、臨月の母と共に、ゲリラと戦うフランコ政権軍大尉のもとへ。権力を振りかざす冷酷な大尉を父親とは認めないオフェリア。母親の具合も芳しくなく、不安な日々を送るオフェリアは、本で読んだおとぎの世界へと引き込まれてゆく。
ごめんなさい、粗筋がお粗末すぎる。
ダーク・ファンタジーというジャンルに分類されるらしいです。ダーク・ファンタジーってどういうものなのか、わたしはあんまりわかっていないのですが。ただ、ファンタジーという形で社会問題(これは歴史的な問題になるのかな)を提起する、訴えるというのは、わたしはすきです。ドキュメンタリーだと白けることも、こういうおとぎ話の仮面をかぶせてしまえば、そうでもないことってあると思います。本当に伝えたいことって、小説やフィクションの世界でオブラートに包みながら届けた方が有効な場合もあるのでしょうね。
結末は、うーん、賛否のわかれるところだと思います。でもオフェリアの勇敢さは、どんな形であれ報われたのかな。
最後に、ぐっときた言葉を。以前に観たときにも、このセリフがとても印象に残ったことを覚えています。
大尉を裏切りゲリラを支援していた医者が、その裏切りについて大尉から詰められている場面です。
大尉は「(自分に)従うほうがあんたのためなのに わからん なぜそうしなかった?」と問います。医者の答えはこうでした。
なぜなら 何の疑問も抱かず ひたすら従うなんて 心のない人間にしかできないことだ
社会の理不尽さへの憤りを研究への糧としていた当時の(恥ずかしい)わたしがこの言葉に感化されるのは大いにあり得ることなのですが、そうか、今でもやっぱりこういうセリフに反応してしまうのか、変わってないというか、成長してないなと思いました。
描写がとても痛いですが(何度か目を覆ってしまいます)、おすすめの映画です。作品イデオロギーは少々偏っていますのでご注意を。
【作品情報】
『パンズ・ラビリンス』(原題 EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH)
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、マリベル・ベルドゥ
製作国:メキシコ、スペイン、アメリカ
公開:2006年