【映画】『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
見てきました。
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』。
次々と脚本コンクールに応募するものの、一次審査すらも通らない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)。そんな彼女と同じシナリオスクールに通う26歳の天童義美(安田章大)は、自分の作品をほとんど書いたことがない割には、常軌を逸した毒舌で他人のシナリオを酷評する。そんな彼らが出会ってしまい、何と天童がみち代にほれてしまう。嫌味な自信過剰男だと自分を嫌うみち代に認めてもらおうと、ついにシナリオを書くことを決意する天童。意外な彼の真摯(しんし)な姿に、みち代も心を開き始めるが……。
http://www.cinematoday.jp/movie/T0016061 シネマトゥデイ
※以下ややネタバレ含みます!ご注意!
よかった。面白かった。
抱いている夢がなかなか叶わなくて、自分の才能の限界もうすうすわかってきて、でもその夢を諦めきれず、ずるずると年齢を重ねてゆく。
役者になるという夢に折り合いをつけて今の仕事に向き合っている元恋人、結婚してゆく友人たち、自分を追い越してゆくシナリオスクールの仲間。
焦り、嫉妬、自己嫌悪。
「夢をこじらせて身動きがとれなくなっているアラサー」の主人公が、もう、痛い。
それこそ、麻生久美子が演じてるからまだ絵になっているけれど、これ現実だったらほんと痛い。
夢を追う姿って、本来はきっと美しいんだと思う。というか、美しくあるべきなんだと思う。
でも現実はそんなにきれいじゃなくて、少年ジャンプみたいにうまくはいかなくて、泥沼にはまりながらもがきながらそのまま終わる。
「夢」が絡むと、人生非常にややこしくなる。
「夢を諦めるな」とか「必ず夢は叶う」っていうメッセージも必要だけど、執着していた夢にさようならをして前向きに生きてゆくことも大いに「アリ」なんだよね。
最後、馬淵さんの夢が叶わなくてよかった。
コンクールで賞をとる、というエンディングだったら、救われないひとがたくさんいたと思う。
挫折した人が自分を肯定する映画、といわれたら、うん、そうだよ。でもそれの何が悪いんだろう。挑戦して、手が届かなくて、同じような境遇の人と傷を舐めあって。そうやって自分を可愛がって生きていくんです、わたしたち。
役者さんたちの感想は、麻生久美子さんがものすごくかっこわるかったのがよかったということ。目をそむけたくなるくらいかっこわるいんです。あんなしゅっとした美人女優さんなのに、これほど痛くみっともなくかっこわるい人物を表せるなんてすごいなーと思いました。
安田さんに関しては、そのまんま、安田章大さんという感じでした。
ところどころ言葉が素敵だなと感じたので、早くDVDになってほしい。文字おこししたい。