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【本】浅田次郎『世の中それほど不公平じゃない』

タイトル通り。読みました。『世の中それほど不公平じゃない』(集英社)。

浅田次郎さんの『週刊プレイボーイ』での連載がまとめられた本。

面白かった。

浅田次郎さんの本、わたしほとんど読んだことないです。ほとんどじゃないです、まったくです、ごめんなさい。

知人に勧められたので買ってみたんですが、よかった。ありがとう知人。

読者からの人生相談に浅田次郎さんと編集者の太朗さんさんが答えていく。本文は次郎さんと太朗さんの対話形式になっています。

連載が週プレということもあり、相談者は男性が多いです。男女関係、仕事、バクチ、社会情勢、人生など、悩みごともバラエティーに富んでいる。

軽いです。全然重くない。次郎さんも太朗さんも軽い。でも投稿された悩みはそんなに軽くない。結構真剣そうなものもある、んですが、それに答える次郎さんは割と軽い。

「少女しか好きになれません」という35歳会社員の相談に、「危なそうなヤツがきたな」とか、「貧乳より巨乳の方がやっぱりいいですか」という22歳大学生には「僕はおっぱい派ではなくお尻派」とか。

浅田次郎さんってこんなひとなのか、とちょっとイメージが変わりました。

(わたしの中の浅田次郎さんのイメージは『鉄道員』です)

 

でもそんなどうでもいい(すみません)相談だけじゃなくて、農家を営む男性が巣立ってゆく息子たちにどういう言葉をかければいいか、とか、うつ病をなおしたい、とか、そういう感じのもあります。そういう悩みへの浅田次郎さんの答えが、それはそれはあたたかい。

その巣立ってゆく息子たちにかける言葉について相談した男性は、自分のことを「百姓」って書いてるんですよ。わたしも詳しく知らなかったんですが、百姓って今、あんまり使っちゃいけない言葉らしくて、でも浅田次郎さんが、「『百姓』と名乗るところがいい」って言ってるんです。で、百姓の仕事をとても褒めている。

自分はしがない百姓だけど息子たちは都会に出、学をなし、立派に働いている。喜ばしいことだけど、やはり寂しい。「家のことは気にしなくていいから立派な男になれ」と言ってはいるものの、気持ちの整理はついていない。そういう相談者に対して、浅田さんが「あなたはいい男だ」と言ってるんです。

しょうもない相談、あまったれた若造には厳しい言葉でスパッと叱咤激励しているんだけど、こういうザ・男気みたいな相談者にはちゃんと賞賛を送っている。

こういう古風な、わかりやすいの、大好きなんです、わたし。

 

 

ちょっと昭和的なお考えだな、と思うところもあって、特に男女の話に関しては「これ今ちょっと厳しいんじゃないかなあ、ジェンダーとかの観点で」っていうのもあったので、そういうのに敏感すぎるひとはご注意を。

でも、女性に勇気を与えてくれる言葉もたくさんありましたよ!

 

「なんとかなるか、人生ながいし」

そう思えた本でした。

 

※上に書いた『鉄道員』はこれ↓