ベーグルに憧れている

書きたいときに書きたいことを

【本】本を読むことを肯定してくれる/『本の「使い方」』

カンボジアベトナム旅行記は小休止です。

 

『本の「使い方」』、読みました。 

 

わたしがよく読んでいるブログにこの本の素敵な書評があります、ぜひ読んでみてください。

d.hatena.ne.jp

 

ライフネット生命を立ち上げた出口治明さんが述べる「読書論」です。読書のハウツー本という感じではなく、活字中毒で本の虫である出口さんが「本のおもしろさ」を伝えてくれる本です。著者が、どういう姿勢で本と向き合っているか、どんな本を読んでいるか、どうやって読んでいるかなどを、やわらかく伝えてくれています。書き方がまったく押しつけがましくなく、気持ちよく読めました。「仕事に効く!」とか「成功のための!」とか謳っている読書論がすきではないのですが、これはそういうものではなく、「本っていいよ、こんなにいいよ、よかったら読んでみてね」と、背中を押してくれる本です。

 

わたしにとって読書は娯楽です。娯楽であるから、読書をすることに対して後ろめたさがあります(娯楽をよくないことと考えていることがよくない気がしますが。長い間学生をやっていた弊害かもしれません)。そういう「後ろめたさ」を蹴散らしてくれました。単純に「何かを知りたい」という思いを肯定してくれています。

 

著者はココ・シャネルに心底惹かれているようで、そのシャネルのエピソードが紹介されています。すでにファッションデザイナーとして成功をおさめていたシャネルが、「私のように、年老いた、教育を受けていない、孤児院で育った無学な女でも、まだ1日にひとつぐらい花の名前を新しく覚えることはできる」と言ったそうです。それについて著者が書いていることが印象的でした。

ひとつ花の名前がわかれば、世界の謎がひとつ消えていきます。すると、この世界が、その分だけ単純に、わかりやすくなっていく。

そうなんですよね。世界はまだまだわたしの知らないことがいっぱいっぱいあって、というよりむしろ、わたしの知っていることなんてほんのほんの少しのことで、わたしはその世界の謎を少しでも多く知りたい。いろんなことを知るにつれ、ぼんやりとした世界の一部が少しだけはっきりすることがある。それがとても楽しいんです。

 

冒頭で、著者はこう書いています。

どうして私が本を読むのかといえば、

「おもしろいから」

としか、答えようがありません。

 この言葉に、とても勇気づけられました。

本を読むのに、変な理屈はいらない。「何かのため」だなんて理由はいらない。「知的好奇心」を満たしたいという欲求は、人間の自然な性なんだと思います。