【本】本を読むことを肯定してくれる/『本の「使い方」』
『本の「使い方」』、読みました。
本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)
- 作者: 出口治明
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/09/11
- メディア: 新書
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わたしがよく読んでいるブログにこの本の素敵な書評があります、ぜひ読んでみてください。
ライフネット生命を立ち上げた出口治明さんが述べる「読書論」です。読書のハウツー本という感じではなく、活字中毒で本の虫である出口さんが「本のおもしろさ」を伝えてくれる本です。著者が、どういう姿勢で本と向き合っているか、どんな本を読んでいるか、どうやって読んでいるかなどを、やわらかく伝えてくれています。書き方がまったく押しつけがましくなく、気持ちよく読めました。「仕事に効く!」とか「成功のための!」とか謳っている読書論がすきではないのですが、これはそういうものではなく、「本っていいよ、こんなにいいよ、よかったら読んでみてね」と、背中を押してくれる本です。
わたしにとって読書は娯楽です。娯楽であるから、読書をすることに対して後ろめたさがあります(娯楽をよくないことと考えていることがよくない気がしますが。長い間学生をやっていた弊害かもしれません)。そういう「後ろめたさ」を蹴散らしてくれました。単純に「何かを知りたい」という思いを肯定してくれています。
著者はココ・シャネルに心底惹かれているようで、そのシャネルのエピソードが紹介されています。すでにファッションデザイナーとして成功をおさめていたシャネルが、「私のように、年老いた、教育を受けていない、孤児院で育った無学な女でも、まだ1日にひとつぐらい花の名前を新しく覚えることはできる」と言ったそうです。それについて著者が書いていることが印象的でした。
ひとつ花の名前がわかれば、世界の謎がひとつ消えていきます。すると、この世界が、その分だけ単純に、わかりやすくなっていく。
そうなんですよね。世界はまだまだわたしの知らないことがいっぱいっぱいあって、というよりむしろ、わたしの知っていることなんてほんのほんの少しのことで、わたしはその世界の謎を少しでも多く知りたい。いろんなことを知るにつれ、ぼんやりとした世界の一部が少しだけはっきりすることがある。それがとても楽しいんです。
冒頭で、著者はこう書いています。
どうして私が本を読むのかといえば、
「おもしろいから」
としか、答えようがありません。
この言葉に、とても勇気づけられました。
本を読むのに、変な理屈はいらない。「何かのため」だなんて理由はいらない。「知的好奇心」を満たしたいという欲求は、人間の自然な性なんだと思います。